【22】
「......ん?」
リザレリスが目覚めた。ゾルダーン特製の〔血のエーテル〕を処方されて五分も経たない頃だった。
「リザさま!」
リザレリスの目に真っ先に映ったのは美少年の顔だった。エミルは目を潤ませ、白い顔は桃色に染まっていた。
「え、エミル。俺...わたしは......」
「本当に良かったです!」
エミルに手を握られながら、リザレリスはボーッとまわりを見まわした。エミル以外にはレイナードとクララがいる。それと白衣を着た中年女性もいる。彼女は看護師か......と思ったところで、急にリザレリスは起き上がった。
「マデリーン先輩は!?」
リザレリスの起き抜けの叫びに、その場にいる誰もが意表を衝かれた顔をする。よりにもよってなぜ彼女の名を?
「リザレリス」
レイナードがリザレリスへ近づいてくるなり、膝をついて頭を下げた。それは一国の王子らしからぬ深い謝罪だった。